September 30, 2010

Google Waveが好きなワケ


もう数カ月前のことになってしまったけど、8月にGoogle Waveの開発が打ち切りになったとアナウンスがあった。このサービスは大変気に入っていたので残念でならなかった。開発中止のアナウンスから約1ヶ月後、Google Waveはオープンソース化され「Wave In a Box」として生まれ変わるとのアナウンスがあったので、取り敢えず自分でサーバを立てれば似たようなものが使えるようにはなりそうだが、「Wave In a Box」が具体的にどんな感じに開発されているかの詳細はまだよく知らない。今回は、私が大好きだったGoogle Waveのサービスについて書いておくことにする。

結論からいうと、Waveが素晴らしいと私が思う最大の理由は、同期型のコミュニケーションと非同期型のコミュニケーションを任意で選択することができるからである。

私はチャットなるものが苦手である。苦手な訳は、チャットでは非同期のコミュニケーションが許されにくく、のらりくらりと同期型の対話を強いるカルチャーがあるため。気心の知れた友人などとのチャットは楽しいものの、そうでない人に対しては相手の都合を考慮しての対話が成立しにくいような気がするのだ。いきなりチャットのウィンドウが開いて話しかけられても、丁度ひまだったということは稀で、忙しく何かに取り組んでいたり出掛けるところだったりする人は多いと思う。そして、会話が一旦始まると、メッセージを書き込んでいる間の待ち時間だとか、他のことを待ち時間にしようにもどうも落ち着かない感じがする。電話でさっさと要件だけ済ませた方が効率がよさそうな場合がほとんどである。

Waveはこうしたチャットの欠点を見事に克服したサービスである。リアルタイムでチャットのように使うこともできるし、相手への返信を自分の都合の良いときに時間を置いてから書き込むこともできるという非同期的な「掲示板」のような使い方もできる。私個人的には、イベントを企画するときなどにWaveが大活躍している。例えば、ポットラックパーティーを開くとしよう。参加者を招いたWaveをつくり要点を書き込む。誰が何を持ってくるのかを書き込むのに便利な表ウィジットを利用することができるし、出欠を取るのにもクリック一つでYes/No/Maybeを参加表明できるウィジットがある。その他、会場のグーグルマップや写真を貼りつけたりすることもできる。こうしたイベントのWaveをつくっておけば、参加者は自分の都合のよい時間に返信を書き込むことができ、たまたま参加者同士が同じ時間に書き込みをしていれば、チャットのように同期型のコミュニケーションをすることもできるのである。 このようなことすべてを従来のチャットのシステム上で行うのは無理があるし、Eメールだと大量のメールが飛び交い効率が悪い。また、メールでは複数のトピックを同時に取り扱うのは難しいが、Waveならば食べ物の話をするグループと集合場所を決めるグループが同じWaveの上で同時進行で話をまとめるということも可能。この融通のきくコミュニケーションスタイルが最高の使い心地なのだ。

電話のような同期型のコミュニケーションは、必要に迫られた場面では最も手っ取り早く効率が良い。しかし、自分にその意志がないときに同期型コミュニケーションを強いられると人は最も居心地が悪くなるものだ。Twitterが大流行している大きな理由の一つは、ユーザが同期型コミュニケーションと非同期型コミュニケーションを選択することができるからだと思う。Twitterでは、チャットのようにリアルタイムに近い形で対話することもできるが、話のネタが風化しないうちだったら時間をおいて返信することもできる。その気軽さがよい。だから、Twitterのように同期型と非同期型のコミュニケーションを選択できることができるWaveは、正しく理解されすればもっと多くの人たちにウケるサービスだと思うのだ。

Waveが一部の人の間にしか浸透しなかったのには理由がいくつかありそうだけれど、一番致命的だったと感じたのはnotificationのシステムが上手く組み込まれていなかったからではないかと思う。Waveに書き込みがあるとメールで通知される機能が途中から付け足されたが、サービスがリリースされて話題になった時点ではそうしたネイティブに組み込まれた通知のシステムがなかったので、折角書き込みをしても誰も見に来ないということが頻発した。これがボトルネックとなり、ユーザの多くはWaveの良さがわかるまえに使うのを止めてしまっていた。Waveのアップデートをブラウザのアイコンの色で知らせるChrome用のextension、Firefoxのプラグインなどを使うようになった仲間内ではそうした問題はなくなったが、サードパーティの通知用ツールを利用することもなく使わなくなってしまうユーザは非常に多かった。あと、途中から付け足されたメールで通知が送られるシステムは、残念ながら、自動的に適当な間隔で送られるものだったので、ほとんどの人はそのメール通知の多さにうんざりして通知をoffにしてしまっているようであった。自動で送付されるのではなく、「イベントに参加出来る人はお返事早くください」のような感じで任意にメールで注意を喚起することができれば都合がよかった。

今年は、私のお気に入りだったGoogleのプロダクトが2つ打ち切りになってしまった。Nexus Oneの一般向けWeb直販が中止になり、そしてこのWaveの開発の打ち切り。Nexus Oneでは、OSのアップデートをいち早くOTAで受け取ることができ、キャリアの制約なしで色々やりたい放題。Waveは上で書いたような理由で素晴らしいサービス。どちらも巷での普及率はイマイチだったようだが、ちゃんと理解されてないんじゃないか、と愚痴ってみる。もちろん、ちゃんと理解したうえで他の電話を選択したり、Waveは嫌いという人もいるのだろうけれど、そこらの通行人をつっついて質問しただけでも、全くよさが理解されていない、知られていない故に使われていないのがマジョリティなのが残念なことこのうえない。だから、ちょっと遅すぎたかもしれないけれど、ここにこういう記事を書いておこうと思った次第。

September 25, 2010

iPad-自炊:電子レンジで本を分解する試み

先日のブログエントリーで書いた自炊の初体験以来、pdf化した本をiPadに取り込みBookmanで読書するスタイルが快適である。

所有している書籍を積極的にどんどんpdf化したいところだが、悩むは本の裁断。力のある人なら問題ないかもしれないが、電子カッターでの裁断は軟弱者の私にはかなり疲れるしケガをしそう、裁断機も力が要りそうだし性能の良さそうなものは$500ぐらいと高価だ。FedExに本を持ち込んだところ、一冊$1.49で裁断してくれたが微妙な値段である。さてどうしようと思いながら本をぼーっと眺めていたところ、各ページの根元が糊で綴じてあることに気付いた。この糊さえ溶ければバラバラになるな、電子レンジで加熱したらどだろうと思い立ち、手元にある本を電子レンジに突っ込んで実験してみた。すると、糊がドロドロに溶けて背表紙が剥がれ、スルスルと頁を引き抜くことができるではないか。この結果に興奮したので、ついついTwitterで

”自炊するのに裁断機や電子カッターを使わずに本を分解する方法を編み出した。「本を電子レンジで30秒ほど加熱するだけ。」糊がドロドロに溶けて自動的に頁がバラバラになる。裁断機を使うと本の中心近くにある画像が切れる問題も解消。”

、と冗談めかしてつぶやいたところ、次々とリツイートされ始め、通信関係の権威でいらっしゃる小池良次さんにリツイートしていただいた辺りから勢いが加速。Twitterの情報の伝播力は凄い、一時間もたたないうちに100リツイートを超える騒ぎとなった。糊はドロドロしないかだとか、スキャンするのに問題はないのかなど多数のご質問をいただいたので、ちゃんと検証したいなと思っていたところ、タイミングよくScanSnapをお借りすることができたので、興味のありそうな人をお招きし「電子レンジメソッドで自炊をする会」を開催する運びとなった。

実験結果の豆知識:
  • 電子レンジで加熱処理をするデモ録画はこちら
  • 日本の文庫本2冊を含む数冊を使って実験してみたが、200~300頁ぐらいの書籍なら1000Wの電子レンジで1分30秒ほど加熱すると丁度良い具合に糊が溶けて背表紙が剥がれる。
  • 加熱しすぎると変色してしまうので加減が必要。
  • 糸で留めてあるものは糊が溶けてから別途カッターで糸を切る必要がある。
  • ホッチキスなど金属が使われているものは炎上する可能性があるので危険。
  • 加熱後にフニャフニャになることもあるが、その場合はまだ紙に温もりがあるうちに重しをのせておけば大体まっすぐになる。
  • 背表紙が剥がれた本体の頁は大まかにバラバラになるので、それを一枚ずつ手でバラバラにする。
  • スキャナーに糊がついて汚れたりする場合もあるのでスキャナーを掃除する必要がある。
  • 数冊試しただけで、サンプリングは十分ではないので、まだ未知の様々な問題が起こる可能性がある。
糊を剥がしたあとの凹凸がひっかかって上手くスキャンできないのではなどとの懸念もあったが、ScanSnapはさすがに精鋭なスキャナであるらしく、今回の実験に使用した本の頁はエラーが一度も起こらずにスキャンを終了することができた。もちろん、スキャナの種類によっては上手くいかないものもあるであろうし、糊が剥がれた状態が悪かったりすると結果に影響が出ることであろう。







320頁の本





電子レンジで加熱直後







きれいに分解できました








ScanSnapでスキャン中










Bookmanに取り込んだところ







Twitterで

"電子レンジ書籍分解法、まだ誰も試した人いなかったのかなぁ?パテントかけられない? 笑)"


”Twitterで公表したので、もう公知の事実ですね。残念。"

、などという冗談を小池さんと交わしたりしたが、やっぱりこれは私が始めて思い立ったというもののはずはなく、こういうウェブサイトがちゃんとあるよと教えてくださった方もいる。まさかこれほど多数の方にリツイートしていただけるとは想像しなかったので、自分が「編み出した」などとよく調べもせずに軽々しくTwitterに書いてしまい、ずっと前にウェブサイトなどで電子レンジの方法を記述されていた方には失礼だったと思うので申し訳ありませんでした。

兎も角、ふとしたことがきっかけとなりとても楽しい金曜日の夜となった。

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以下は、使用した及び推薦された道具のまとめ。

Windows用
FUJITSU ScanSnap S1500 FI-S1500
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Mac用
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BOSCH バッテリーマルチカッター XEO
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後日談:最近ではこんな本も出版されているようです。

電子ブック自炊完全マニュアル
戸田 覚
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September 20, 2010

カーナビのことなどAndroidについて雑感


ついに日本でもAndroid上でグーグルマップをベースにした無料カーナビが使えるようになったと発表された。

今年1月にNexus Oneを購入して以来、私もこのサービスを利用しているが、もの凄くいい。携帯電話の小さな画面ではナビが見にくいのではとの心配は杞憂に終わり、まったく不自由なしの快適さ。特にいいなと思ったポイントは以下のところ:
  • 携帯のGmail、ウェブ、アドレス帳の住所をクリックするだけで、入力の手間なくナビモードに入れる。
  • いつも携帯しているという状況柄、事前に目的地をセットアップすることが容易で車に乗り込んでから入力するというあわただしさがない。
  • 他のカーナビソフトのように、アップデートにお金を払う必要がなく、常に最新のコンテンツがダイナミックに提供される。
  • 車にカーナビを置きっぱなしにして盗難という心配がなくなる。
  • 検索機能との連携プレイはさすが、これの右にでるもの無し。
  • カードックはNexus One純正のカードックを持っているが、それに組み込まれているスピーカーなしでもはっきり聞き取れるぐらい音も十分大きく調節できる。
  • ストリートビューの実施されていいる場所が目的地の場合、標準の地図モードで運転していても到着時にストリートビューが表示されるところがちょっとカッコいい。
などなど、大変気に入っているので、ナビが必要なところへ外出の際には必ずお連れしている。車をよく運転する人は、これが使えるからiPhoneではなくAndroidにするという人も増えてくるんじゃないかと思う。気の毒なのは既存のカーナビメーカーですね。


iPhoneは初モデルが発売になってからずっと愛用しているが、Nexus Oneを買ってからは両方を必要に応じて使い分けている。どちらが好きかと聞かれれば、「両方」。Androidはクラウドを上手く利用しているのでOSアップデートもエレガントにOTA、アドレス帳やフォトアルバムもいちいちiTunesのようなものに繋がなくても自動的にアップデートされるのがクール。Google VoiceやGTalk、ナビなどグーグルのサービスとの連携が自然なところがよい。Froyoにアップグレードしてからは一段と高速になり、WiFiホットスポットの機能は大変重宝している。

そしてAndroidは、まだiPhoneほど使い勝手や機能の実装が洗練されていないけれど、エンジニアが楽しみながら規制なしにガーッと作った気配が存分に残っているところが素敵だと思う、マルチタスクが制御なく野放しになっているところだとか。プロダクトが成熟してくると、エンジニアリングで好き勝手はできなくなるのが普通なので、完成度の高さと引換にそうした未熟さ故の魅力は失われるものだ。このAndroidの楽しい雰囲気に魅了され、禁を犯しEclipseにAndroid SDKをセットアップして"Hello World"プログラムまで書いてはみたものの、個人的な諸々の事情でここから先に進むべきか否か迷い中。

キャリアからの規制なく最新のOSがゲットできたりやりたい放題だったNexus Oneが販売中止になってしまったのは本当に残念だ。リーナス・トーバルズもNexus One気に入ったと言っていたし。まぁ、キャリアの制限なくなんでも出来るというところは、各キャリアの端末にAndroidを搭載してもらっていることを考えると政治的にも複雑そう。

Nexus Oneを手に入れた時はすっかりこれに夢中になり、iPhoneが放置気味になっていた時期があった。しかし、iPhone 4が発売されてからは、iPhone 4のあまりの美しさに陥落し、その使用頻度が上がっている。こんなことを書いていると、電話2つも持って変な人だと言われそうだが、ここはシリコンバレー。5人の友達と集まれば、そのうち3人がiPhoneとNexus Oneの二台持ち、iPhoneは全員、iPadは4人が所有という内訳。新しいガジェットが発売されると真っ先にゲットして披露してくれる人が必ずいる楽しい環境なのだ。新しいガジェットを誰よりも先に買って披露というと、なんとなくスネオのキャラを連想するが、みんな性格のよい素敵な方ばかりなので、「きれいなジャイアン」ならぬ「きれいなスネちゃま」大集合といったところだろうか。

September 16, 2010

Bookmanと自炊にまつわる話


Twitterのタイムラインから「自炊」という表現が流れてきて、何のことだろうと首を傾げたのはいつのことであったか、今ではすっかり定着したジャーゴンである。もちろんここでいう「自炊」とは紙の本を裁断、スキャンしてPDF化、電子リーダーで読めるようにするプロセスのこと。

アメリカにはBOOKSCANやスキャポンのような格安のスキャンサービスはないし、ScanSnapを使用して自炊する様子を解説した日本のサイトを見るにつけ、自宅本棚の本を全てPDF化できたら随分身軽になれるなぁと思っていたところ、iPadブックリーダーBookman開発者の加東さんJTPAにお招きして講演していただく機会に恵まれた。講義ではBookmanを始めとしたiPad用のブックリーダーアプリ開発や電子書籍にまつわる話、自炊の実演などを含めていろいろと勉強することができた。

iPadが発売されてから、それ専用の書籍アプリ、リーダーが各社から発売され、何種類か自分のiPadにインストールしてみたものの、写真など図面の多いコンテンツは取り扱いがどうも上手くできておらず、もっさりと重い動作で読み込みの遅さにイライラさせられるものが多かった。iPadはその解像度の高さからも写真の多い雑誌のようなコンテンツが最高に映えるのだが、残念ながらそうした雑誌などで購入したものはどれもパフォーマンスが快適でないものばかり、紙のパラパラ感には及ばずであった。

加東さんのお話によると、Bookmanは「速さ」が売り、「速さ」にフォーカスした機能では誰にも負けないアプリを目指していらっしゃるとのこと。なるほど、このアプリ確かに超速です。写真が大半で構成されているPDFを読み込んでみたところ、サクサクページがめくれます。サムネイルも瞬時にして生成された。画像データの多いファイルをめくるときは、画像が読み込まれるまで時間がかかるリーダーが多く、連続でページをめくると画面が真っ黒になってしばらくコンテンツが表示されなかったり、停止してしまうアプリが多いなかBookmanはそうした問題が全然起こらない!iTunesのランキング上位にあがっている他のリーダーアプリも色々と試して比較してみたが、画像処理にかけては群を抜いたパフォーマンス。テキストだけのコンテンツはKindleやこれからも多数でてくるであろう廉価なブックリーダー端末で十分なので、iPadではそうした端末と差別化できる画像を中心としたコンテンツを優雅に演出できるBookmanのようなリーダーに期待がかかってくると思う。

加東さんのご解説によると、高速の秘訣はキャッシュのマネージメントに工夫があるようで、ユーザがページをめくるのに先立って次々とデータを先読みしてバックグラウンドでキャッシュの生成処理をしているそう。まぁ、説明するのは簡単ですが、これを上手く実装するのはそれなりに高度なスキルが必要なので、さすが凄腕ゲームディベロッパの加東さんですね。

興味があったので、これが良い機会と「自炊」のプロセスを加東さんに解説していいただきながらScanSnapもお借りして試してみた。電子カッターや裁断機で裁断するのは、ナマケモノの私にはちょっとハードルが高い。でも、ScanSnapは巷での評判どおり大変秀逸なスキャナーで、ページが重なってスキャンされてしまうなどのエラーも滅多に起こらないそう、OCRなし300dpiの設定で150ページ程がものの5分程でPDF化された。近所のFedExに問い合わせたところ、自分でやると面倒な本の裁断は一冊$1~$1.49でやってくれるとのことなので、機会があったらまとめて裁断してもらってScanSnapでスキャンするのもいいかなと思った。ScanSnapはUSのアマゾンでも買えるようなので、ちょっとwishリストに追加。


初めて体験した自炊に使用した本は写真の東京のガイドブック。Bookmanに早速取り込んで快適な読み心地。日本に帰省の際には、各地を旅行したり、東京の街を散策したりするのにガイドブックを買うことが多いのだが、飛行機に乗って日米を往復するのにこうしたガイドブックを何冊も鞄に詰め込むのは重量制限もあるし、かなり負担になっていた。日本を出てこちらに戻るときに毎回捨てて買い直すというのも不経済。こうしたものこそiPadなどの電子リーダーに何冊も取り込んでおきたい。iPadなら旅先でグーグルマップを表示することもできるし便利そう。そう考えると、ガイドブックからクリックしてそのままグーグルマップに飛んだり、音声ガイドがついたような電子旅行ガイド本、早く普及して欲しいものだ。


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追記:自炊のプロセスは加東さんのこちらのサイトが解りやすいです。


September 13, 2010

Barefoot Coffee


午後のひとときをBarefoot Coffeeで過ごした。アップル本社キャンパスからも車で5〜8分のところにあり、ベイエリアで一番美味しい珈琲が飲めるという人も多いほど地元で評価の高いのカフェのひとつ。一番の人気はカプチーノで、その濃厚でクリーミーな飲み心地は絶品、これを飲んだらリピーターになること必至の店である。

この日は、読書中の本が全て電子書籍だったので小脇にiPadを抱えて外出した。あれもこれもと欲張りに同時並行で何冊かの本を読書することが多い私にとって、iPad一台に何冊もの本を詰め込んで出掛けることができるようになったのは嬉しい限り。それにしても、iPadはカフェにしっくりくる。カプチーノを飲みながら、iPadで読書したり、ニュースサイトを読んだりの時間はノートブックを持ち込んだ時よりも優雅で極上のものになるのだ。iPadでXcodeが使えたらいいのに、という輩は実に多い。確かに、うまい具合にツールアプリが実装されたらiPadでのカフェプログラミングはいかにもはかどりそうだ。利便性、実用性だけでなく、優雅かつ味のある感覚を愉しめる端末というのはアップル製品独特のものだと思う。Windows OSを搭載した使い勝手がよく、なんとなくスタイリッシュな仕様になっている他のメーカーのノートパソコンで最高に実用的で秀逸なものは数多くある。しかし、アップル製品の醸し出しているものはそうした現実的な道具としての完成度云々という以前に、徹底した職人気質とものづくりへの究極のこだわりからくるもの。だからこそ、ここまでもカフェとカプチーノがしっくりくるのだ。

そんなことを考えていたので先日のiPadにまつわるエントリーの付け足しとして、ちょっと書いてみた。

さて、このBarefoot Coffeeでは只今、日本人写真家のIchiro Asaoさんの写真展開催中である。Ichiroさんはシリコンバレーにある公園で野生動物、草木などを被写体に癒しを目的とした写真を趣味でずっと撮り続けていらっしゃる方。この辺りにあるトレイルにウォーキングに行くと目にする美しい瞬間をとらえた写真は心を和ませる。写真の展示は今月一杯だそう。




September 9, 2010

iPad購入からその後

iPadが今年4月3日に発売されからしばらくになるが、折角ブログを再開したのでiPadにまつわる雑感を書いておこうと思う。

最初にiPadの発表がアップルからあったとき、Power Mac G4 Cubeのことを思い出した。そう、2000年にアップルが発売したあの立方体のモデルである。うるさい冷却ファンを取っ払い、Power Mac G4をわずか20センチ四方の箱に収めるという型破りの発想、透明なプラスチックの衣をまとった美しい姿は皆をあっといわせた。発売後、いち早くCubeモデルを取り寄せた同僚の机の周りは黒山の人だかり。お揃いのモニター、ハーマン・カードンのスピーカーなどと組み合わせて机に陳列した様はまるで美術品の展示のようで、従来の仕事場のワークスペースとはまったく違うスタイリッシュな空間を作り出していた。ところがこのモデル、見た目は素敵だが拡張性がない上に値段やスペックが中途半端。パワーユーザーにとってはPower Mac G4タワーに比べてスペックが物足りなく、一般ユーザーにとっては値段が高すぎるので廉価なiMacを買うほうが合理的、というマーケティング上の欠点があり、結局すぐに発売停止となってしまった。

iPadが発表されたとき、そんなCubeの思い出が走馬灯のように脳裏を駆け巡り「帯に短し襷に長し」の感があった。値段はWifiのみのモデルが$499からとリーズナブルなものの、ポータブルな端末としてiPhoneとノートパソコンの使い回しのどこを補完するのだろうかと。これが最初の2秒のなんとなくであった。

しかし不思議なもので、発表から予約受付までの一ヵ月半程の間、アップルのデモビデオを何度も観たり、いろいろな人の話を聞いたりしているうちに、やっぱり欲しいという気分になり、予約→発売日に購入、というお決まりの流れになった。Twitter過去ログでの推移は以下のとおり。

[発表直後]

カメラがあればちょっとした編集にも十分な大きさなのに。外付けキットが出たとしてもエレガントではない。

Wed Jan 27 2010 11:50:08 (PST)

iPadについていろいろ復習中.....

Thu Jan 28 2010 22:40:23 (PST)

所有している15”MBPは、気軽に持ち歩くには私にはちょっと重すぎ大きすぎ。スマートフォンの小さい画面でするよりもう少し本格的に読んだり書いたりのちょっとした作業を出先でするにはiPadいいかなぁ、という気持ちになっている今日。

Sun Jan 31 2010 21:00:52 (PST)

[予約の儀]

iPad予約手続き完了

Fri Mar 12 2010 08:14:25 (PST)

[購入直後]

iPadのような玩具を手に入れた後の雨降りの日ってなんて素敵。

Sun Apr 04 2010 18:49:17 (PDT)

ノートパソコンを持って出かけるのは気合が必要だけど、iPadならストレスなく持ち運べて快適。ちょっとご飯食べに行きますというときも迷わずお供に。でも、使うかわからないのに常に鞄に入れておくにはやっぱりちょっと重いかな。iPad Airぐらいの感覚に早くなってほしい。

Tue Apr 06 2010 21:31:02 (PDT)

ざっとこんな感じである。発売日に手にしたiPadは想像を遥かに上回る素晴らしさであった。グーグルマップのレンダリングからひしひしと実感できるA4チップの高速感、モダンな石板のような洗練されたデザイン、既存のiPhoneアプリでiPad用に書き換えられたものはより大きな画面の中でダイナミックで新しい感覚を演出しており、すべてが完璧であった。「こんなにワクワクするガジェットは久しぶり!これは世界を変えるね。」と本気で感じた。購入日のお祭り騒ぎの後、しばらくの間は暇があればiPadを触っていた。

さて、購入日から約5ヶ月経過の今日、我が家にやってきたこの新しい端末の近況を最後に:

  • 料理のレシピを表示しながらキッチンで使うのはお気に入り。
  • セカンドモニターのようにして使うと快適。例えば、誰かのプレゼンのデモビデオをiPadで流しながら、そのメモをノートパソコンで取る。
  • 映画など動画の再生は、途中で移動しなくてはならないときに簡単に持ち運べるので大変重宝している。例えば、映画鑑賞中にキッチンにお茶を取りに行ったり、部屋を移ったり。
  • 写真を見るのに最高の端末。写真集、写真の多い雑誌などがもっとiPadで読めるようになって欲しい。
  • カフェでゆっくりコーヒーでも飲もうというときに持って行くと優雅なひとときが過ごせる。iPhoneの小さい画面で見るよりも、iPadの画面での表示はやはり豪華だ。

正直に言うと、始めの2秒で感じたごとく、自分の今のライフスタイルには、iPhoneとノートパソコンの使い回しのフローに日常の必需品としてフィットする場面はなかった。自宅にいるときに使うのは圧倒的にノートパソコンで、外出時にiPhoneは必ず携帯するものの、使うかわからないのに取り敢えず鞄に入れておくほどiPad軽くはない。しかし、iPadがあると日常の場面がより華やかに、愉快になる。要するに、私にとってのiPadiPhoneやノートパソコンのように毎日必ずなくては困るというものではなく、キッチンにある電動ミキサーのような位置づけである。電動ミキサーがなくても手で混ぜることはできるが、ないとちょっと不便だし、料理の仕上がりもちがう。

日常のあらゆる場面でiPadを活用し、コレがない生活は考えられないという人も周りに多数いるし、全然使わないで机の上に置きっぱなしという人もいる。人によって活用頻度はまちまちのようだ。しかし、紛れもない事実がある。それはiPadが発売されたことで紙の書籍から電子書籍への移行が加速されたことだ。米国ではアマゾンのKindleが牽引する電子書籍のマーケットがじわじわと広がりつつあったものの、iPadが発売されるまでは日本での電子書籍の実現はかなり難航しているようだった。それが、iPadのお祭り騒ぎがきっかけとなり、続々と電子版書籍がマーケットに出始めた。出版に関してiPadの影響は多大なものである。そして、なかなか離陸しなかったタブレットというプラットフォームのマーケットの展開が一気に加速した。

iPadにはまだまだ可能性が秘められていると思う。新しいプラットフォームとして世の中に姿を表し、そこに完全にフィットするコンテンツが発明されるのを待ち構えているような未来性のあるプラットフォームだと思うのだ。

September 7, 2010

「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン〜人々を惹きつける18の法則」


「本書ではジョブズのプレゼンテーションを分析し、聴衆を魅了するテクニックの数々を初めて明らかにする。それだけではない。本書を活用してジョブズのスキルを修得し、そのテクニックを活用すれば、彼と同じように聞き手の心を動かし、また聞きたいと思われる話ができるようになる。」
、という魅惑的な一節がプロローグにあるが、これは大変な良書。

プレゼンのマニュアル本は多数あるが、ジョブズという大変注目されている話題の人物が題材になっている本書は最後まで楽しんで読みきることができた。プレゼンのノウハウだけでなく、ジョブズの生き方や考え方も折り混ぜて、陳腐なマニュアル本ではなく情熱的なストーリーのある展開になっている。ジョブズのプレゼンのごとく、ポイントをおさえて明快な記述が読みやすい。9月1日に開催されたアップルのミュージックイベントでジョブズのスピーチが生中継されるのを聴いていたが、本に書いてあるテクニックが実際に使われる度に頷いてしまうなど、コンテンツ以外のところでも倍楽しめた。過去のスピーチの録画もYouTubeにあがっているものを時間があるときに改めて観てみようと思う。記述されている技法はプレゼンに限らず、文章を書くとき、人を説得したいときなど日常のあらゆる場面で手軽に活躍できる秘訣が満載なので、公の場でプレゼンをする機会はないという人にもおすすめめできる。

本書はカーマイン・ガロ氏の日本語翻訳だが、日本語版は外村仁氏の解説が巻末に付録として付いているのが特典。シリコンバレー在住で、アップルにも在籍されていた外村氏から日本の皆さんへの愛情のこもったメッセージは日米の文化の違いもふまえて書かれており、本体を読む前に一読するとよいと思う。英語版はKindle経由でも安く早く購入することができる世の中になったが、こうした価値のある解説が付いているものはあえて翻訳版を選びたい。

私がソフトエンジニアになったばかりの始め3年ほどの間、ローカリゼーションやインターナショナリゼーションの仕事をしていた時期があった。要するに、シリコンバレー本社でUSマーケット用に書かれたソフトのコードを書き換え、UIの翻訳や文字サポートも含め、日本や他のアジアの国、ヨーロッパなどの市場用に作り直す仕事だ。日本のマーケットは消費者の要求のスタンダードが高いので、他のマーケット用には直さないようなバグも日本語版だけ特別に直したり、機能も日本語版だけ付け加えたりということがよくあった。結果、日本語版の方がオリジナルのUS版より仕上がりが良くなることも多々あり、そこが国際化の仕事の面白いところであった。書籍の翻訳もしかり、優秀な監訳者、解説者のために翻訳版にプレミアムが付いてオリジナルよりもバリューが高くなる良い例が本書である。


スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
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注)アメリカ在住の人のためにUS紀伊国屋のリンクはこちらです。リアルタイム在庫が確認できます。紀伊国屋は店舗も各地にありますし、送ってもらうだけでなく実店舗取り置きもできます。

iPhoneのケースが届いたのでちょっと一言

世間を騒がせたiPhoneのアンテナ問題のため無料配布されることになったケースが届いた。

Apple純正のバンパーや他のケースを注文した人たちは申し込みから一週間程で届いていたようだけど、私の選んだ↑の写真のモデルは、Case Programアプリがリリースされた7月23日に即申し込みをしたのにもかかわらず昨日やっと届いたので結構時間がかかった、がそんなことはどうでもよい。使うつもりはない。

この上なく美しくデザインされたiPhoneをゴムのケースやバンパーで覆ってしまうのは邪道だと思う。アップルの製品にプレミアム価格を払うのはその洗練されたデザインのため。使いやすい機能上のデザインだけでなく、その見た目の美しいデザインのためにアップルファンは惜しげなく金を払うのだ。手に持ったときに感じる素材の感覚、重みなどが全て細かく計算されつくされ、最適化されている、それをケースで包み隠してしまうのは実にもったいない。

iPhoneは初期バージョンから全てのモデルを購入してきたが、むき出しで使うのが常に自分のスタイルだった。今回のiPhone 4にいたっては、Retina Displayと名付けられた画面の美しさとといいまるで宝石のよう。手にとった感覚はスワロフスキーのクリスタルジュエリーのごとく、「Jewelry Phone」と麗しく呼びならわしたくなる仕上がりである。

で、例のアンテナ問題だけど、私や周りのギークコミュニティの人で気になると言っている人は殆どいない。これは多分、この界隈のギークコミュニテイではiPhoneを電話として認識している人はあまりいないし、電話機能をあまり使っていない人が多いからだと思う。iPhoneが初めて発売になった時からギークな人達はみな思っていただろうけど、'phone'というストリングが製品名に入っていること自体不自然なぐらいだった。これは超小型携帯用コンピューターで電話はオマケ、瑣末な機能。それを携帯電話という広く浸透したマーケットにうまくのっけて売り出したアップルの戦略はすごい。超小型携帯用コンピューターとして売りだしても、殆どの人は買わなかっただろうからね。

もとい、そんなこんなで電話としてあまり使わないからアンテナのことも気にならないし、デザインが美しいから脱ぎ着せが簡単ではないカバーは使いませんよという話でした。

September 3, 2010

Posterous

Posterousにちょっとテスト投稿。メールから写真も文章も投稿できる気楽さがいいですね。軽量ブログという点では、reblogが特徴のTumblrと似ている感じがしますが、こちらはコメントへの返信もメールベースで実行することができるなど、従来のブログ書きの体験をより簡単に、Eメールという誰にでもお馴染みのシステムを使って可能にすることにフォーカスしているよう。パスワード保護で友人や家族に閲覧を限定したブログにすることができるなどのプライバシーコントロールのコンセプトは、残念ながら閉鎖されることになったSix ApartのVoxに似ていますね。Twitterがヒットした理由のひとつもそのシンプルな使い勝手と気軽に始められるハードルの低さ、これからの展開が楽しみなサービスです。Posterousが立ち上がったのは2008年、Y Combinator発のスタートアップですね。

2003年頃、ブログブームの黎明期に少しだけ試してみたブログを再開しようと思いつつ延ばし延ばしになっていましたが、これならまた書いてみようという気になるでしょうか。論文発表のようなブログを書いている時間はないので、Twitterの140文字では収まらないカジュアルなコンテンツを気の向いたときにちょっとメールクライアントから投稿ということで......。

テスト投稿の写真は、今週ランチしたサンフランシスコのZuni Cafeで食べたミントパンナコッタです。