Forbesに掲載された、Paul Grahamによる「What It Takes」という記事。Paul Grahamが起業家にとって大切だと思う資質を4項目挙げて説明しているのでコンテンツをご紹介する。投資家はビジネスプランを最重視する傾向があるが、Y CombinatorのファウンダーであるPaul Grahamは「アイディア」よりまず「人」が大切だという。
決意(Determination)
Y Comobinatorを始めた当初は「知性(intelligence)」が一番大切だと思っていた。しかし、ファンダーがバカではだめなことは当然だが、知性が一定レベルまで到達していれば「決意(determination)」していることが一番大切なのだ。沢山の障害を乗り越えていかねばならないのだから。
WePayのBill ClericoやRich Abermanがよい例。Bill Clericoが電話してきたら、言われた通りにした方がよい。彼は絶対に諦めないから。
柔軟性(Flexibility)
決意していることが大切とはいえ、「夢は絶対に諦めない」と執着している感じなのはだめ。スタートアップの世界は変化が激しいから、状況に応じて夢を調整できるようでないといけない。
GreplinのDaniel Grossがよい例。彼は電子商取引の悪いアイディアをもってYCに応募してきた。他のことをやるなら出資してやると言ったら、すんなりOKと受け答えて新しいアイディアを次々と出してきた。
創造力(Imagination)
もの凄く新しいアイディアを思いつく能力は、既存の問題を素早く解決する能力よりずっと重要。スタートアップの世界では、よいアイディアというのは始めのうちは悪く思える場合が多い。明らかによいアイディアであるのなら、もう誰かが既にやっているだろうから。だから、丁度よい加減にクレイジーなアイディアを思いつく能力が必要なのだ。
自分の部屋や倉庫など、空いているスペースをホテルのように希望期間貸出するオンラインサービスのAirbnbがよい例。他人の部屋に泊まりたい人がそんなにいるとは想像もしなかったが、ファウンダーたちがすごく気に入ったからとにかく出資してみたところ、このアイディアのクレイジー加減は正しかったことが証明された。
いたずらっ子であること(Naughtiness)
起業家の大半は善良な人間だが、目の中を覗いていみると海賊のようにギラギラしている傾向がある。道徳観はあるが、クソ真面目ではない、要するに「いたずらっ子」だ。ルール破りは大好きだが、絶対にやってはいけないことはわきまえている。
LooptのSam AltmanはYC卒業生の中でも特に優秀な人物なので、彼に「君のような人材を発掘するには、Y Combinatorの応募用紙にどんな質問を書いておいたらよいのだね?」と訊ねてみた。彼は「これまでにハッカー行為をしたのはどんな場面か質問すればよい。」と答えた。今では、この質問はYCが応募者を選抜するときに判断材料とする最も重要な質問事項となっている。
記事のコンテンツは以上。シリコンバレーにいると、四番目の「いたずらっ子」というのは起業云々にかぎらず、新しいアイディアがおふざけから誕生することは非常に多い。エンジニア同士がふざけて作ったプロジェクトが本番になってしまったということは自分にもあったし、今世の中でヒットしているテクノロジーやサービスでも枚挙にいとまがない。そして、更に大切なのはそうした「おふざけ」を受け入れる周りの環境だと感じる。エンジニア同士の「おふざけ」を面白がってどんどんやらせてくれる上司や会社のカルチャー、そうしたものが新しいものを次々と生み出すシリコンバレーの大きな原動力の一つになっているのだ。
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