今日のTechCrunchの記事にも取り上げられていたが、どうやらAppleがiPhoneとキャリアを切り離そうとしている動きがあるという。記事にもあるように、これはGoogleがNexus Oneでやろうとして失敗した試みだ。Appleが同じことをやろうとして上手くいくだろうか?
Googleのやり方は紳士的であったと思う。Nexus Oneは、キャリアの縛りから消費者を開放しようと試みる、消費者の利益を優先するプロジェクトであり、Googleはその目的をストレートに表現して売りに出した。表現がストレートだったから、デバイスを99ドルで販売することはキャリアから拒絶されたし、プロジェクトは終了に追い込まれてしまった。素晴らしい電話だったのに。Androidが世の中にまだ浸透していなかった時期に、この作戦はまずかったと思う。
AppleのiPhone売り出しにまつわる戦略は天才的だ。そもそも、Appleが高性能な小型携帯用コンピュータを「電話」として売り出した作戦に我々は見事にひっかかった。携帯電話という広くあまねく行き渡ったマーケットに乗っかり、これは電話ですよとiPhoneは売り出されたのだ。小型携帯用コンピュータとして売りだされていたら、ほとんどの人は見向きもしなかったであろうに。iPhone 4に至っては、もはやこれを「電話」と呼ぶのはまったく相応しくないほど、いよいよ電話の機能は瑣末なものになってしまっている。それにもかかわらず、いまだ堂々と「phone」というストリングが製品名に入って売られている。iPhoneを電話として売り出すのは、音楽再生装置のついた自動車を「動きまわれるミュージックプレイヤー」ですよと売り出すようなものだったのだ。消費者は小型コンピュータを電話だと思い込み、それは素晴らしく便利だという評判とともにじわじわと世の中に受け入れられ、普及してしまったという茹でガエル状態である。
さらには、かつて「電話」と呼ばれていた(いや、今はまだ呼ばれている)ものさえもその高性能な小型コンピュータが供給する様々な便利な機能によって置き換えられようとしている。こうなってくると、データプランさえあれば通話プランがなくてもいずれ通話ができるようになるということはエンジニアや先見の明のある人たちは始めから知っていただろう。そして、その解っていた人たちはiPhoneにプッシュ通知機能が付いたとき、わざわざ電話会社にテキストメッセージのための料金を払わなくてもよくなったという事実に小躍りししたはず。実際のところ、私の周りの人間では、料金を払ってテキストメッセージを送ってくる人はほどんどいなくなった。
話がちょっとそれてしまったが、もとい、AppleがNexus Oneと同じような試みを今したらどうなるか?既にiPhoneはマーケットに広く浸透している大人気の製品。だから少なくとも、AppleはGoogleがNexus Oneを売りに出した時より強気に出られる立場にいる。Nexus Oneが不評だった一因は、Webストアでしか買えず、直販店がないからユーザは満足なサポートが受けられないということだった。しかし、Appleには直販店があり、ジーニアス・バーという最高に整備されたカスタマサポートがある。記事には答えはもうすぐ分かると書いてある。
iPhoneは実はトロイの木馬だったのではないか。だから、私は家に他人を招き入れるときは慎重になろうと思う。
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