October 20, 2010

Y Combinator Startup School 2010



Y-Combinatorが主催する、起業家を対象としたカンファレンスStartup Schoolが今年も開催された。スケージュール表からもわかるように、スピーカーは、Y-CombinatorのPaul Graham、GrouponのAndrew Mason、LinkedInのReid Hoffman、エンジェル投資家のRon Conway、FacebookのMark Zuckerbergなどなど錚々たる顔ぶれである。

講義はすべてライブで生中継公開され、録画も各スピーカーごとのものをこちらのサイトで観ることができるようになっている。

どのスピーカーの話もそれぞれ興味深いが、主催であるY-CombinatorファンダーのPaul Grahamの話をちょっとご紹介しておく。

Paul Grahamはスピーチの最初に、「ノートは取らなくてもいいよ、後から自分のメモをウェブで公開するから。君たちが自分で取るメモが僕のものよりいい訳がないからね。」と冗談を言って会場を笑わせていたが、約束どおり後日こちらの彼のブログサイトで要約が公開された。実際の講演のコンテンツをほぼ全てまとめてあるので録画を観るより効率がよい印象。

講義の要点は、ここのところスタートアップビジネスへの投資環境に激変がみられ、その原因はスーパーエンジェルとベンチャーキャピタリストとの間の競争が原因だという話。

「今まではエンジェルとベンチャーキャピタリストという2種類の投資家しか存在しなかった。エンジェルは自分の資産の中から少額を投資してくれる金持ちの個人で$20K~$50Kの投資をする場合が多い。一方、VCは$1 Millionだとかそれ以上の巨額のお金を投資し、そうした投資資金は人から集めたものである。

ところが、スーパーエンジェルという人たちが出現し始めた。エンジェルとVCの役割を掛けあわせたような存在だ。大抵は、従来のエンジェルのように個人がやっており、VCのように人から集めたお金を投資する。よって、スーパーエンジェルたちはエンジェルたちよりも巨額のお金を投資し、その額は大体$100K程である。スーパーエンジェルたちは、エンジェルのように投資の決断を素早くし、投資先への投資回数も頻繁に行う。

VCのように他人のお金を投資し、エンジェルの強みである投資スピードの速さを実現したスーパーエンジェルの出現は、VCにとって驚異になっている。VCとスーパーエンジェルがお互いに競争し合い、スーパーエンジェルはより巨額のお金を投資するようになり、VCが少額のお金をより素早く投資していくことで、何年か後にはお互いの役割がより似通ったものになってくるだろう。

投資家同士の競争は、起業家にとって朗報である。競争は顧客にとって有利な条件をもたらすが、そうした単純な理由だけではなく、VCとスーパーエンジェルの対立が引き起こすルールの変化が起業家にとって有利なものになるだろう。

いずれにせよ、少なくともこれから数年はスタートアップへの投資ビジネスはヒートアップし、大規模なマーケットクラッシュでもないかぎりはスタートアップが資金調達するのに絶好の環境になる。従って、これからスタートアプが乱立してバブルのようになるだろう。」

かいつまんで話すとざっとこんな感じだが、実際の数字を出しながらの説明も含めてかなり面白いのでご興味のある方は是非録画を観るなり要約を読むなりしてみてください。投資環境の変化が発端でもたらされるスタートアップバブル、インターネットバブルの次はこれか?


リンク集:
------------------------------------------------
Startup Schoolの全講義録画
Paul Grahamの講義録画
Paul Grahamの講義要約
Startup Schoolの撮影写真


No comments: