November 25, 2011

WithingsのWi-Fi体重計とライフログのすすめ

前回のエントリーでは、Jawbone UPのプロダクトレビューを書きましたが、今回も健康用ガジェットのレビューから。少し前から使っている、WithingsWi-Fi Body Scaleがすごく調子いいです。周りの人たちがみんな[*]持っているので、つられて買ったこの体重計、どうしてもっと早く買わなかったんだろうと思うぐらい秀逸です。ちょっと安直な感じがする製品名のとおり、乗るだけで体重と体脂肪の測定結果がWifi経由で自動的にウェブアカウントに送信記録され、グラフ化されます。過去の記録は、ブラウザ、iPhone・Androidアプリで確認できます。体重を毎日測り、手入力で記録をつけてもよいのですが、やはりちょとしたところで自動化すると継続し易いです。健康や美容のために体重を減らすもしくは維持するには、記録とその数値をグラフ化するのがどれほど効果的かはよく知られていることですが、他の何をするよりもまずこの体重計を手に入れるべしといっても過言ではないかもしれません。

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 Withings Wifi Body Scale [米国]

Jawbone UPと併用してかなりいい感じですが、かのMichael Arringtonもこの2つを愛用しているご様子。体重、食事、運動量のログは、何年も記録し続けることで長期的な健康管理にも役立ちそうです。

先日、gihyo.jpさんに「人生の記録〜ゴードン・ベル」という記事を書かせていただきました。8月に開催されたエバーノート技術カンファレンスのセッションをまとめたもので、MicrosoftでMy LifeBitsという究極のライフログプロジェクトに長年取り組んでいるゴードン・ベルの話です。記事にも書きましたが、このプロジェクトでは、ゴードン自身が被験者となって、身の周りにある本,書類,写真,CD,画像など日常のあらゆる情報をデジタル化して記録する生活を続けます。ゴードンは、近いうちに皆が自分と同じことをやっている日が来ると言っていますが、私自身も近頃の生活では、Jawbone UPで運動・睡眠・食事を記録、Withingsで体重を記録、Foursquareで訪問先をチェックイン、Lemonでレシートをスキャン、Mintで家計を記録、ウェブで読んで気になった記事をブックマーク・クリップ、なんてことをしているので、彼とさほど変わらないことをやっていますね(笑。もちろん、世間でも同じような生活をしている人は多いでしょう。

My LifeBitsプロジェクトは1945年にヴァネヴァー・ブッシュが「As We May Think」という論文で発表したmemexをモデルとしたもの。ヴァネヴァー・ブッシュはマンハッタン計画に参加し、原子爆弾の開発に携わった人物として知られ、Webのハイパーテキストの概念もこの論文に影響を受けています。「As We May Think」の原文はこちらで全文が無料で読めるようになっていますが、以下はそこにあるmemexの描写の一部です。日本語訳は「思想としてのパソコン」に収められているようです。

"A memex is a device in which an individual stores all his books, records, and communications, and which is mechanized so that it may be consulted with exceeding speed and flexibility. It is an enlarged intimate supplement to his memory. 
It consists of a desk, and while it can presumably be operated from a distance, it is primarily the piece of furniture at which he works. On the top are slanting translucent screens, on which material can be projected for convenient reading. There is a keyboard, and sets of buttons and levers. Otherwise it looks like an ordinary desk.
In one end is the stored material. The matter of bulk is well taken care of by improved microfilm. Only a small part of the interior of the memex is devoted to storage, the rest to mechanism. Yet if the user inserted 5000 pages of material a day it would take him hundreds of years to fill the repository, so he can be profligate and enter material freely."

これらプロジェクトの話は、ゴードンの著書「Total Recall」に詳しく書かれていて、「ライフログのすすめ」という題名で日本語にも訳されています。ゴードンが共同研究者のジム・ゲメルと書いているブログサイトも、Facebookのタイムラインのことなどが取り上げられていて面白いです。

記憶力の限界を超えて見るもの聞くもの全てを記録するようになり、必要なことはすべて検索して取り出せる。半世紀も前の構想がかなりリアルに感じられるようになった今、これら関連書籍をまとめて読んで、「記録」することから広がるあらゆる可能性について考えてみたいと思いました。


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Total Recall: How the E-Memory Revolution Will Change Everything


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*ここでいう「みんな」とは、ガジェットオタク系の人たちなので、他では誰も持っていないかもしれません。