September 30, 2010
Google Waveが好きなワケ
もう数カ月前のことになってしまったけど、8月にGoogle Waveの開発が打ち切りになったとアナウンスがあった。このサービスは大変気に入っていたので残念でならなかった。開発中止のアナウンスから約1ヶ月後、Google Waveはオープンソース化され「Wave In a Box」として生まれ変わるとのアナウンスがあったので、取り敢えず自分でサーバを立てれば似たようなものが使えるようにはなりそうだが、「Wave In a Box」が具体的にどんな感じに開発されているかの詳細はまだよく知らない。今回は、私が大好きだったGoogle Waveのサービスについて書いておくことにする。
結論からいうと、Waveが素晴らしいと私が思う最大の理由は、同期型のコミュニケーションと非同期型のコミュニケーションを任意で選択することができるからである。
私はチャットなるものが苦手である。苦手な訳は、チャットでは非同期のコミュニケーションが許されにくく、のらりくらりと同期型の対話を強いるカルチャーがあるため。気心の知れた友人などとのチャットは楽しいものの、そうでない人に対しては相手の都合を考慮しての対話が成立しにくいような気がするのだ。いきなりチャットのウィンドウが開いて話しかけられても、丁度ひまだったということは稀で、忙しく何かに取り組んでいたり出掛けるところだったりする人は多いと思う。そして、会話が一旦始まると、メッセージを書き込んでいる間の待ち時間だとか、他のことを待ち時間にしようにもどうも落ち着かない感じがする。電話でさっさと要件だけ済ませた方が効率がよさそうな場合がほとんどである。
Waveはこうしたチャットの欠点を見事に克服したサービスである。リアルタイムでチャットのように使うこともできるし、相手への返信を自分の都合の良いときに時間を置いてから書き込むこともできるという非同期的な「掲示板」のような使い方もできる。私個人的には、イベントを企画するときなどにWaveが大活躍している。例えば、ポットラックパーティーを開くとしよう。参加者を招いたWaveをつくり要点を書き込む。誰が何を持ってくるのかを書き込むのに便利な表ウィジットを利用することができるし、出欠を取るのにもクリック一つでYes/No/Maybeを参加表明できるウィジットがある。その他、会場のグーグルマップや写真を貼りつけたりすることもできる。こうしたイベントのWaveをつくっておけば、参加者は自分の都合のよい時間に返信を書き込むことができ、たまたま参加者同士が同じ時間に書き込みをしていれば、チャットのように同期型のコミュニケーションをすることもできるのである。 このようなことすべてを従来のチャットのシステム上で行うのは無理があるし、Eメールだと大量のメールが飛び交い効率が悪い。また、メールでは複数のトピックを同時に取り扱うのは難しいが、Waveならば食べ物の話をするグループと集合場所を決めるグループが同じWaveの上で同時進行で話をまとめるということも可能。この融通のきくコミュニケーションスタイルが最高の使い心地なのだ。
電話のような同期型のコミュニケーションは、必要に迫られた場面では最も手っ取り早く効率が良い。しかし、自分にその意志がないときに同期型コミュニケーションを強いられると人は最も居心地が悪くなるものだ。Twitterが大流行している大きな理由の一つは、ユーザが同期型コミュニケーションと非同期型コミュニケーションを選択することができるからだと思う。Twitterでは、チャットのようにリアルタイムに近い形で対話することもできるが、話のネタが風化しないうちだったら時間をおいて返信することもできる。その気軽さがよい。だから、Twitterのように同期型と非同期型のコミュニケーションを選択できることができるWaveは、正しく理解されすればもっと多くの人たちにウケるサービスだと思うのだ。
Waveが一部の人の間にしか浸透しなかったのには理由がいくつかありそうだけれど、一番致命的だったと感じたのはnotificationのシステムが上手く組み込まれていなかったからではないかと思う。Waveに書き込みがあるとメールで通知される機能が途中から付け足されたが、サービスがリリースされて話題になった時点ではそうしたネイティブに組み込まれた通知のシステムがなかったので、折角書き込みをしても誰も見に来ないということが頻発した。これがボトルネックとなり、ユーザの多くはWaveの良さがわかるまえに使うのを止めてしまっていた。Waveのアップデートをブラウザのアイコンの色で知らせるChrome用のextension、Firefoxのプラグインなどを使うようになった仲間内ではそうした問題はなくなったが、サードパーティの通知用ツールを利用することもなく使わなくなってしまうユーザは非常に多かった。あと、途中から付け足されたメールで通知が送られるシステムは、残念ながら、自動的に適当な間隔で送られるものだったので、ほとんどの人はそのメール通知の多さにうんざりして通知をoffにしてしまっているようであった。自動で送付されるのではなく、「イベントに参加出来る人はお返事早くください」のような感じで任意にメールで注意を喚起することができれば都合がよかった。
今年は、私のお気に入りだったGoogleのプロダクトが2つ打ち切りになってしまった。Nexus Oneの一般向けWeb直販が中止になり、そしてこのWaveの開発の打ち切り。Nexus Oneでは、OSのアップデートをいち早くOTAで受け取ることができ、キャリアの制約なしで色々やりたい放題。Waveは上で書いたような理由で素晴らしいサービス。どちらも巷での普及率はイマイチだったようだが、ちゃんと理解されてないんじゃないか、と愚痴ってみる。もちろん、ちゃんと理解したうえで他の電話を選択したり、Waveは嫌いという人もいるのだろうけれど、そこらの通行人をつっついて質問しただけでも、全くよさが理解されていない、知られていない故に使われていないのがマジョリティなのが残念なことこのうえない。だから、ちょっと遅すぎたかもしれないけれど、ここにこういう記事を書いておこうと思った次第。
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